『見えないアメリカ 保守とリベラルのあいだ』渡辺将人著(講談社現代新書)を読みました.
最近読んだ本の中で最高の本の1つです.(英語っぽい表現.)買いです.大統領選挙まっさかりですしね.
アメリカの政治というと,保守 = 共和党,リベラル = 民主党 のイメージでばさっと捉えてしまいがちです.大筋ではそれでOK.でも,実際に選挙活動に加わってアメリカを内側から観察していくと,そんな単純じゃないよという筆者の意見です.
銃規制に反対する民主党員,イラク戦争に反対する共和党員もいる.なぜそんな事も起こりうるのかということを,アメリカを様々な角度から切って分析しています.
第一章 「保守」と「リベラル」
第二章 都市 — 移民のシェルター
第三章 南部 — 怒りの独立王国
第四章 信仰 — 共同体にひそむ原理主義
第五章 メディア — 大衆化の舞台装置
終章 自由主義 — アメリカ精神の奥底
日本に比べるとパラメータの数が多いという印象を受けました.何系の移民か,人種,出身地,地元文化,宗教,貧富の差,ホワイトカラー/ブルーカラーなどなど.そのパラメータが複雑に絡み合ってきて,それがアメリカを「見えなく」しているのでしょう.私もこの本は一回読んだだけでは理解できませんでた.(2回目は調べながら読まないと.)
印象に残ったところだけ以下ピックアップしました.
・P.92 「敵」としてのワシントン
アメリカは「ワシントン」という言葉にネガティブなイメージを感じるようです.「永田町の論理」と同じ意味で.だから選挙の年には候補者から「アンチワシントン」が前面に出てくる.そういえばマケイン大統領候補のCMにも「ワシントンは混乱している(だからマケインだ)」のようなメッセージが入っています.「あなたも(オバマも)上院議員でしょうが」という突っ込みもあるが,それはともかく.ミシェル・オバマ(オバマさんの奥さん)もこんなことを言っている.P.132 から引用すると,
ワシントンでの生活について訊ねられ,返し言葉で「私はワシントンには住んでいない.シカゴの住人だ」と強く反論した.(引用終わり)
日本で「私は永田町(もしくは東京)には住んでいない」と言われても,ピンと来ません.なぜ,アメリカ人が反ワシントンになるのかは,アメリカの南北対立の歴史が強く響いているみたいです.
・P145 強い宗教性
アメリカの政教分離について書かれています.私(日本人)が感じていた政教分離のイメージと随分違うので印象に残りました.以下長いのですが,引用すると,
アメリカにおける政教分離とは,特定の宗派だけを依怙贔屓(えこひいき)にして,ある宗派を国民に無理矢理押し付けることを禁じたものだ.政治家が宗教に熱心になることを禁じているわけではない.リベラルな「世俗派」の主張も,宗教のものさしで行政や立法を行うことに反対しているだけだ.政治から宗教色を除去する「無神論的」潔癖性とは異なる.(引用終わり)
ふーん.聖書の上に手を置いて大統領宣誓するのも,だからいいのか? オバマも元ムスリムということを随分叩かれていたし,これからも叩かれるのだろうけど.やっぱりキリスト教中心な気がする.この辺りは本で触れられていませんでした.
・ハンティング文化が銃規制を妨げている(P.165 )は新鮮でした.アメリカはハンティング文化が根付いているのですよね.会社にいる現地人の中にも,趣味がハンティングな人がいるのですよ.
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筆者の略歴をみてびっくり.1975年生まれ! まだ33歳ですよ.自分と年齢そんなに変わらないよー,とガッカリしてしまうのです,自分に.仕事も勉強も頑張らんとなあ.